こんにちは、伊東です。
2009年から洋菓子店を経営しています。
国内22,000店中、食べログTOP100のお店を運営中。
「売れ残ったケーキってどうしてるの?廃棄?」
「でも、翌日にも出している所があるって聞いたこともあるし、、実際のところどうなの?」
今回は、こんな疑問に対しお答えします。
では、内容みていきましょう!
1.売れ残ったケーキを廃棄するのは良いお店
売れ残ったケーキを廃棄しているお店は「少数派」です。
・人気があるお店で売り切れるから廃棄がない
・お客様に品質の良い商品を出したいというオーナーの考え
こういうお店は、お客様のことを一番に考えているのでオススメなお店です。
2.売れ残りケーキを翌日販売するお店もある
こういう所の方が圧倒的に「多数派」です。
初めて知った時はかなりショックでした。
「普通、翌日には売らないでしょ・・」
と考えていたからです。
でも、これがこれが・・・あるんですよね。
ぶっちゃけ、百貨店なんかでは「あたりまえ」です。
3.翌日どころか3日目も販売したりもあります
あるんですよね。コレが。
・賞味期限・・美味しく食べることが出来る期限
・消費期限・・その期限までに食べないといけない期限
販売する側の言い分としては、
「賞味期限は過ぎたけど、消費期限内だから大丈夫」
ということですね。
まぁ、はっきり言ってお客様をバカにしています。
バースデーケーキを日常的に販売していて、かつ販売数が思わしくなさそうなお店はとっても怪しいです。
バースデーケーキは原価もかさみますし、当日に廃棄というのは嫌がるオーナーが多いからです。
4.なぜ翌日以降も販売するお店があるのか
理由は簡単です。
「当日に廃棄すると原価が上がるから」
「廃棄にするとまた新たに全ての商品を作り直すことになる。それが手間だから。」
すべて「お店側の都合」です。
「原価、人件費の上昇を防ぐため」
う~~ん、もうこういうお店は難しいですね。
「お客様が来て頂けるからお店は存続できる」
ということをもう忘れているんでしょう。
信じられないと思う方もいると思います。
でも、現実です。
以下で洋菓子店のオーナーが考えそうなことを解説します。
私も洋菓子店のオーナーなのでわかるのです!
5.具体例で解説
・1月20営業日
・毎日100個のケーキを用意
・ケーキの平均単価は500円
・完売すると日商5万円・月商100万円
・ケーキの原価率は40%
このお店が毎日20個売れ残ると原価はどうなるでしょうか?
(わかりやすく簡易化しています)
・完売すると月商100万円
→仕入れは40万円
→原価率は40%
↓
・20個売れ残ると月商80万円
→仕入れは40万円で変わらず
→原価率は50%
「10%上がるんだ。ふ~ん。」
・・ではまったく済まされません。
原価が10%も上がるのはアウトです!
こんなのが続くと倒産します。
以下のデータをご覧ください。
菓子小売業の経常利益率の平均→4.4%
出典:TKC経営指標速報
令和1年5/1~7/31まで
これは日本最大級の税理士・会計士の全国組織TKCが出している数値です。
上記を簡単に説明すると
「利益4.4%が平均」ということです。
「原価10%も上がったら絶対に赤字。」
だから洋菓子店のオーナーは翌日にケーキを販売してしまうんです・・・・
100%お店側の都合です。
そこにお客様は不在です。
悲しい・・・
6.パティシエ の方へメッセージ
「売れ残りは廃棄すべき」
そう思うのが「あたりまえ」です。
でも、多くのお店は実行できません。
あなたがいつかお店をやるようになったらぜひ貫いて下さい。
それがお客様のためになります。
7.まとめ
私も洋菓子店のオーナーです。
だからオーナーの気持ちはわかります。
しかし、私達は「お客様に価値を提供すること」がお店を運営する目的のはずです。
この目的を忘れてはいけません。
私も創業時はまったく売れませんでした。
毎日、毎日、ゴミ袋にケーキを捨てていました。
「コレ、明日も売れるよな」
そう思いながら。。
でも、
「売れ残りを翌日も販売するのはダメ」
「お客様を裏切ることになる」
そう思い、泣く泣く毎日、重いゴミ袋を持ってゴミ捨て場に行っていました。
でも続けるうちに少しずつ変わってきました。
10年続けている今では「ほぼ毎日ケーキが完売します。」
お客様に誠実に続けてきてよかった!
「お客様はわかってくれている!」
今はそう思っています。
ということで以上です。