こんにちは、伊東です。
2009年から洋菓子店を経営しています。
国内2万2000店中、食べログTOP100のお店を運営中。
パティシエは労働時間がとにかく長い と言われます。
私も確かに「長い」と思います。
この『パティシエの労働時間』について経営者である
私なりの目線から考えてみたいと思います。
(※今回は、私が運営しているいわゆる「個人店」と言われる
所を例にしています。
ホテル勤務、工場勤務、大手企業では以下とは異なります。)
労働時間が長い理由
これは、大きく分けて「3つ」あると私は思っています。
①経営者・シェフ
これは、私達経営者の問題です。
私は元々、製菓の世界の人間ではないのですが、
多くのお店では、
経営者=シェフ
ではないでしょうか。
シェフ自身が、過去に厳しい環境でいわゆる「修行」をして、
朝から晩まで、時には寝ずに働き、勉強をし、毎日の厳しい
「修行」を乗り越えて、本当にごく一部の人しか実現が出来ない
独立という目標を見事に果たされています。
そうすると、「職人」の世界ですから、自分が過去に学んだ環境と
同じように、自分が独立してからも運営をしてしまいがちになります。
独立して、オーナーシェフとして右往左往しながらも、
お店を運営していくというのは、並のバイタリティでは無理です。
オーナーシェフになった方は、大変な努力をし、自分の夢や目標を
実現しているわけであり、素晴らしい人材なわけです。
しかしながら、
そのお店で働くパティシエはオーナーシェフとは
同じではありません。
オーナーシェフが修行時代にやってきたような事、やってきたような
仕事量、内容を普通のパティシエに求める事自体、私はナンセンスだと
思っています。
普通のパティシエでは到底こなせないような業務量を割り振ったり、
高いレベルの仕事を求めたりする事になり、その結果、労働時間が長くなる
という事は往々にして起こっている事だと思います。
②洋菓子店の経営の仕方の問題
洋菓子店経営は、季節変動は大きいですし、生菓子はロスになると
原価はかさみますし、パティシエ1人当たりの売上を確保するのが
簡単ではありません。
その為、オーナーがしっかりと経営について勉強をし、
以下のようなポイントをいかに考えるか?そしてそれを実行していくか?
が鍵となると私は思っています。
一例をあげます。
・一番売上の落ちる夏場に赤字を出さない経営を考える
・ロス管理をしっかりと行い、ロス率の低減に努める事
・機械化出来る事は機械化をし、生産性の向上を図る事
・現場の細かい作業で外注化出来る事は行い、生産性向上と
品質の安定を図る事
・生菓子と焼き菓子の売上比率目標を明確にし、改善を進める事
・核となる商品をまず1つ作ること
・毎月、試算表を出し、経営数値を把握し、毎月対策を打つ事
例えば私の場合、クッキーを詰める作業は自動包装機を導入し、
社員やパティシエではなく、パートの方に対応をして頂いています。
人が行うと、1時間に200枚出来る作業ですが、これが自動包装機の場合
1200枚になります。
しかも、社員、パティシエが行う必要がありません。
これだけでも、生産性は6倍になっています。
更に、これを社員、パティシエが行う必要がありません。
会社としても、設備投資をして、生産性が6倍になるのであれば、
採算は取れるわけです。
こんなのを社員やパティシエがやっていたら、いつまでたっても
家に帰れません。。
売上を上げる為の戦略を考える事
コスト削減の方策を考える事
生産性向上を図る事を考える事
経営数値を最低毎月は正確に把握し、対策を打つ事
経営者としては、「当たり前」の事ですが、職人として
ずっと働いてきた、オーナーパティシエの方には難しい事だと思います。
だから、オーナーがとにかく「経営を勉強する」
という事が大切だと私は思います。
③パティシエの仕事の仕方
①②と私達経営者の問題という点を挙げてきましたが、
パティシエ自身の仕事の仕方にも私は問題があると思っています。
パティシエのあなたは以下の質問にいくつ「〇」がつきますか?
・自分自身の、10年後のキャリアプラン、ライフプランはあるか?
・3年後のゴールは明確か?
・1年後のゴールは明確か?
・ゴールに向けての計画はあるか?
・今月の目標と目標達成に向けての取り組みは明確か?
・指示を受けた事、学んだ事は毎日ノートにまとめて復習を
しているか?
・レシピは毎日ノートにまとめて、復習をし、その日のうちに
暗唱できるまで、頭に入れているか?
・今日の目標とその目標達成の為に向けての取り組みは明確か?
・いかにして、自分自身の生産性を向上させるか?
いかにして、早く帰宅するか?を考え、日々取り組んでいるか?
これは、3年位パティシエとして働いている方は出来ていないと
いけないことだと私は思います。
ただ、これらを教育するのは、私達「経営者」です。
経営者が一番努力が必要だと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
結局の所、
経営者次第で労働時間は変わる
と言い切ってもいいのではないかと私は思っています。
私自身はどうか?と聞かれると、まだまだです。
しかし、「もっと良くしていく」「労働時間も適正にしていく」
という気持ちを持ち、様々な取り組みを行っています。
また、勉強もし続けています。
洋菓子業界は労働時間長いの当たり前だから、、
職人の世界だし、、
という事で片づけてしまいたくはないわけです。
「洋菓子業界でも、労働時間は適正に出来る」
という事を実現できるように努力していきたいと思っています。