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超ブラック労働からどうやって抜け出したのか?洋菓子店の経営者が解説!

超ブラック労働からどうやって抜け出したのか?洋菓子店の経営者が解説!

こんにちは、伊東です。

 

2009年から洋菓子店を経営しています。

国内22,000店中、食べログTOP100のお店を運営中。

 

「はぁ~~、パティシエって本当にブラック過ぎ」

 

「どうやったら抜け出せるのかな?」

 

今回は「経営者目線」で解説します。

「こういう取り組みをしたら改善が進む」という一例として見て下さい。

 

そんなに簡単ではありません。

 

「お客様から一定の評価をいただく」

「運営効率を高めること」

 

これは相反する部分も多いです。

 

職人の微妙な手作業がお菓子の品質を決めるという所はあります。ただ、ここにこだわるほど「ブラック」状態になります。

 

しかし私のお店の場合はシェフのお菓子作りへの情熱の為、妥協しませんでした。

つまり、、

 

職人だからこそ出せるお菓子の品質

生産性を高めること

(※労働時間を短くする事)

 

両方を追求してきています。

今もそうです。

 

という事でその一部ですが解説をしていきます。

 

 

 

 

本記事の内容

1.スーパーブラックだった創業期

2.焼菓子の製造場所作っちゃえ!

3.目先の利益よりも、お客様の利益、将来の利益を重視

4.経営者はいつまでもブラックで働くのが正しい

5.まとめ

 

では行きます!

 

1.スーパーブラックだった創業期

はいはいはい。

 

もうキツイ。

思い出すだけでもキツイ。

 

毎日朝7時から仕事を始めて終わるのが、深夜2時とか遅いと4時ですよ。。

 

 

尋常じゃない世界でしたね。

今思えば。

でも売上が上がってるか?

と言われるとゼンゼン上がっていません。

 

自分の給料すら出ない状態でしたし。

もう開業して2ヶ月でさっそく潰れそうになりましたし😁

銀行に現金10万円しかない・・・支払いヤバい・・

 

 

私自身、今は現場での仕事は殆どしていません。

しかし、創業当初は販売もして、洗い物もして、発注もして・・と何でもやっていました。

 

そりゃ終わるわけないですよね。。

最初の2年位はもう本当にきつかったです。

 

そして思うわけですね。

 

「こりゃ倒れるな・・」

 

「どうにかしないといけない。

みんな頑張っているし。」

「自分がどうにかしないと!」

 

バタバタしまくりながらも冷静に現場を見てみました。

すると気づいちゃったんですよね。

 

オーブンが(当たり前ですが・・)1台しかない。

だから、オーブン待ちが発生しまくっている。

 

もう狭い厨房で、効率が悪すぎるわけです。

色々と他にも問題はありましたが「大きく状況を変える一手」として思いつきました。

 

2.焼菓子の製造場所作っちゃえ!

製菓用オーブンの写真

そう!これです。

 

焼菓子の製造拠点を分ける

工場を作る

 

当時、3年目を迎えて焼菓子の売上も伸びてきていました。

その為、より一層、オーブンが1台のみで「オーブン待ち」が本当に多く発生していました。

 

そこで「焼菓子の工房を作る!」と社員に伝えました。

 

でもですね。。

売上が伸びているって言ったって、大したことありません。

働いている社員が一番わかっているわけです。

すぐさまこう返答されます。

 

「そんなお金どこにあるんですか?」

 

あ~~言われちゃった。

さすが社員ですね。

わかってらっしゃる。

 

だってそうですよね。

ぶっちゃけ安月給しか出せていないのにどうやって工房なんて作るの?

 

って誰が考えても気づきますよね。

これには私即答しました。

 

「何とかする!」

 

根拠?

ありませんよ。そんなの。

 

言ってから「宣言」しちゃってからどうするか?を考える。

そんな感じです。

いつも大体そうです。

 

私自身、諦めが悪い方の性格なので「どうしたら実現するか?」を死ぬほど考えました。

で、、、

 

実現しましたよ~

 

 

正直、社員は実現した時はビックリしていたようです。

「どこにそんな金が・・」

でもそれをどうにかするのが経営者ですから。

 

資金(借入)は私一人が連帯保証すれば何とかなります。

私一人「ハイリスク」ですが・・・

まぁ、そんなものです。

 

工房ができて非常に生産性は高まりました。

 

1店舗しかお店はありませんが、今では

・工房に1台

・本店に2台

オーブンがあります。

3台で1,000万円は余裕で超えます。

 

焼菓子の売上もちょうど伸びていくタイミングだったので工房作っていなかったら売上の伸びも確実に止まっていたな・・

いや、

その前に過酷すぎて自分の息の根が止まっていたな・・

 

他にも色々とやりましたよ。

次で少しだけ解説します。

 

 

3.目先の利益よりも、お客様の利益、将来の利益を重視

洋菓子店をやっていると確実にぶちあたるのが「オリジナルの包装資材」です。

 

これほんとうにお金がかかります。

 

・紙袋

・写真のようなギフト箱

 

ちょっと作るだけで100万円なんて軽く超えます。

創業期の小さな洋菓子店にとっては「重い投資」です。

 

でもこれも踏み切りました。

なぜか?

 

「お客様に取って良いと考えたから」です。

 

やっぱりオリジナルのギフト箱ってよくないですか?

お客様にとって良いと思ったんです。

 

さらに、オリジナルの箱にして、仕切りなんかもオリジナルで作ることで箱詰めの作業時間が大幅に減りました。

見た目も写真のように統一感が出ます。

 

 

急速冷凍庫エンジェル

製菓用の急速冷凍庫も導入しました。

 

これで品質もあがり、かつ生産性も劇的に上がります。

生菓子のムースを作るのに8時間かかっていたのが、

1時間で終わるようになりました。

 

この設備のポイントは「品質も上がる」という事です。

ネックは「高い」「場所を取る」という事だけです。

 

 

※日本ポリスター社 正ピロー包装機

 

「自動包装機」も導入しました。

これも劇的に変わります。

 

人がやると・・1時間(60分で)200枚

自動包装機だと・・8分

 

1時間200枚⇒8分ですよ。

8分。

 

月2万枚だとこの100倍です。

 

私のお店は売上の規模の割に、過剰な設備投資をしています。

簡単に言うと「かなり背伸び」をした経営をしてきている。

 

でも結果から見ると「正しかった」と思っています。

もうぶっちゃけ私一人ドキドキですよ。

 

「ちょっと投資攻めすぎたかな・・」

 

「乗り切れるかな・・」

 

「返済、大丈夫だよな?・・」

 

もうひとり、ずっとモヤモヤ、ドキドキな日々です😊

今はコロナ禍で色々とキツイですが・・

 

当時も今もずっと自問自答ですよ。

 

「自分の判断は正しかったのか?」

「いや、正しいかったといえる結果にしないといけない」

「でもな~・・・」

「いやいや、きっとこれは正しい・・ハズ・・」

 

3年目から毎年、大きめの投資をし続けてきました。

 

年商は2倍以上になりました。

でも、帰宅時間は年々早くなっています。

でも、お菓子の品質は落としていません。

(むしろ向上しています。)

社員の給料もダイブ上がりました。

 

 

結果、正しかったと判断しています。

 

4.経営者はいつまでもブラックで働くのが正しい

パティシエ(従業員)はブラックで働くのはダメ👎

ただし、経営者はいつまでもブラックで働くのが正しいと私は思っています。

 

ブラック労働を抜け出す鍵は「経営者」意外にいない

 

「経営者」がリスクを取り、挑戦・努力をし続けること

 

これが大事だと思っています。

細かく解説するとまだまだ改善してきている事はあります。

 

ただこれらは誰からも指示されません。

当たり前です。

経営者ですから。

経営者が自分で考えて行動をする。

リスクを負い、投資をする。

 

そういう事です。

ですから製菓の世界のブラック労働については90%は経営者に責任があると思っています。

(10%は働く側にも問題があると私は思っています。)

 

5.まとめ

何となくは伝わりましたでしょうか?

 

お客様のため、

従業員のため、

将来の利益のために、

 

経営者がリスクを取り挑戦・努力を続けること

 

このブログを書いているのも23時です。

そろそろ終わらないと・・

 

最近思うことがあります。

 

厨房の電気が深夜までついていて近隣の方に思われていやしないかと・・

「あそこのお店、深夜まで毎日明かりがついてて・・ブラックなんだわ。きっと。」

 

それ「私」です。

あぁ、この誤解が解ける日が来ると良いのですが・・

 

という事でそろそろ終わります。

それではまた!!

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