こんにちは、伊東です。
2009年から洋菓子店を経営しています。
国内22,000店中、食べログTOP100のお店を運営中。
前職は東証一部上場コンサル会社に7.5年勤務。
「洋菓子店・ケーキ屋さんの利益率ってどれくらい?」
「毎日、遅くまでお菓子作りしてるからかなり儲かってそう?」
今回はこんな疑問にお答えします。
パティシエの皆さんからすると少しは気になると思います。
ではいきましょう!
1.洋菓子店・ケーキ屋の利益率とは?
今回は、TKC BASTという所が公表しているデータです。
TKCとは日本最大規模の会計事務所グループです。
TKC BASTとは?
TKC経営指標(BAST)は、TKC会員(税理士・会計士)の関与先企業の経営成績と財政状態を分析したものです。
TKC会員が毎月継続して実施した巡回監査と月次決算により作成された会計帳簿を基礎とし、そこから誘導された決算書(貸借対照表及び損益計算書)を収録データとしています。
これだけの精度と速報性を持つ中小企業の経営指標は、世界にも類例がなく、税務当局、金融機関等から高く評価されています。
一言で言うと「参考になるデータですよ」ということです。
さて、洋菓子店の利益率について見てみましょう。
令和1年の7月~9月に決算を終えた企業の最新データです。
経常利益率 4.3%
どうですか?
少なく感じますか?
1,000万円の売上で、43万円の経常利益ということです。
年商1億円なら、430万円の経常利益ということです。
黒字、赤字とありますが、黒字企業の割合はどの程度でしょうか?
2.黒字企業の洋菓子店の割合はどれくらい?
まず結論いきます。
黒字企業 34%
どう感じますか?
私の感覚としては「まぁ、そんなもんだろ」と思います。
パティシエの皆さんからすると「えっ??マジ??」という感じかもしれません。
意外と黒字企業というのは少ないのです。
これは製菓の世界に限らず、日本の法人全体に言えることです。
「えっ?でも7割近くも赤字なの?」
「大丈夫なの?」
黒字が34%ということは赤字が66%ということです。
そりゃそう感じますよね。
3.赤字企業の洋菓子店は潰れちゃうの?
はっきり言って「大丈夫・・・じゃないです。」
先日以下の記事も書いています。
2019年は実は街の洋菓子店の倒産件数は過去最高を更新見込みだそうです。
全然、大丈夫じゃないわけです。
街の洋菓子店のオーナーは1人歯を食いしばって実は生き残りをかけて頑張っていたりします。
またこんな事は従業員に相談できません。
「1人、孤独に悩む事になります。」
私もそうです。
夜な夜な1人、悩んでいます。
4.毎日遅くまで頑張っているのに儲かってないの?
でも、こんな疑問がでてきますよね?
「毎日、忙しいし、お客様にも沢山きて頂いている」
「だからメチャクチャ儲かっていてオーナーが私腹を肥やしている!」
なんて思っている方、いませんか?
そうなんですよ。
事業というのは意外と簡単ではないのです。
なかなか「経営者の目線」でお店を見る事なんて無いですよね?
教えてもくれませんし。。
たったの4%の経常利益を出すだけでも66%が失敗している
利益が出ていてもたったの4.3%
毎日遅くまで働くから利益が出るというわけではないということです。
「そういう事業構造を作ってしまっている」
→これは100%経営者の責任です。
真っ当な経営者なら毎日考えているはずです。
・どうやったら皆が働く環境を良くできるか?
・どうやったら皆の給料をあげれるか?
・どうやったら会社の利益を出せるか?
・どうやったら皆が楽しく働けるお店・会社になれるか?
経営ってやってみるとわかるのですが本当に奥が深いんです。
一言でいうと「経営者の手腕」の問題ということです。
皆さんの頑張りが会社の利益に直結していないということですから。
残念ながらそういう所の方が多いのが数字からも見てとれます。
5.パティシエができること
「なんか大変そうなのはわかった。」
「わかったけどどうしたらいいの?」
「何かできることはあるのかな?」
こんな感想を持つ方もいると思います。
「答えはそれぞれのお店、それぞれの人の中にある」
というのが本質だと思いますが、私から1つの提案をしたいと思います。
こんな事をやってみてはどうでしょうか?
・お客様に喜んで貰えることは何か?を考えてやってみる
(※オーナーには相談の上)
・原材料を大切に扱う。
ロスを減らし、原価率を高める為です。
ぜひ考えてみて下さい。
1人1人が、お店の主役で活躍をしていく事が大事です。
6.まとめ
・洋菓子店の経常利益率は4.3%
・黒字企業は34%
・お客様に喜んで貰えることは何か?を考える。
オーナーに相談の上、できる事から始める。
・原材料を大切に扱う
はい。いかがでしたでしょうか?
意外とシビアな洋菓子店の事情でした。
それでは!