» パティシエが成長する為に必要な資質とは?
 » パティシエが成長する為に必要な資質とは?

現役洋菓子店経営者だからわかる
パティシエに役立つリアルな情報をお届けします。

パティシエとしての技術・キャリア・経営・心構え

パティシエが成長する為に必要な資質とは?

パティシエが成長する為に必要な資質とは?

こんにちは、伊東です。

 

パティシエとして働き出し、下積み期間を乗り越え、3年位経つとある程度の仕事を任される方もいると思います。

 

「もっと成長したい!」

 

そういう気持ちがより出てくる時期ではないでしょうか。

 

そんなあなたの成長スピードを速める為のポイントをお伝えできればと思います。

 

・パティシエ歴は3年弱で独立

・ジャパンケーキショー1位受賞

・国内2万2000店中、食べログTOP100のお店

・2009年創業、10年以上の運営を継続

 

現状、こんな感じなのである程度は信頼して頂けると思います。

一般的には、10年、15年勤めてから独立という方が多いように思います。

 

それをたった3年で実現しています。

 

「えっ??3年で独立!?」

 

そのポイントは色々とあるのですが、今回は2つ程お伝えしたいと思います。

 

《1》
原理原則から徹底的に学ぶ事

 

《2》
先輩、上司、シェフの為に努力・仕事をする事

 

ものすご~く重要です。

それでは一つ一つお伝えしていきましょう。

 

 

原理原則から徹底的に学ぶ事

皆さんは、製菓理論の原理原則を徹底的に学ばれていますでしょうか?

 

原理原則がしっかり学べている方は、応用が効きます。

 

数学を思い出して下さい。

足し算、引き算が出来ない人は、中学に入り因数分解は絶対に解けないですよね?

四則演算、出来ない人は絶対に中学・高校の数学は解けません。

 

原理原則は不変です。

 

例えば、

当店でも過去働いて頂いていたパティシエの方で、

以下の質問をして、まともに回答出来た方は1名だけでした。

 

「生クリームはなぜ液体から、固体になるのか?」

 

「35%と42%の生クリームでオーバーラン値が高いのは?

またその理由は?」

 

これを原理原則から化学的に、かつ論理的に説明が出来ないといけません。

 

こういう事がわかっていないと、夏場でも冬場でもどんな環境化でも、常に安定してよい状態の生クリームを立てて扱う事が出来ません。

 

ちなみに当店のシェフは、本棚には入りきらない位、物凄い量の製菓関係の書籍を所有しています。

フランスまでわざわざ買いにいく位です。(※当然フランス語です。)

 

製菓関係の本は、なぜか1冊数千円から数万円と非常に高いです。

シェフはここに惜しみなく投資をしています。フランスまで普通本を買う為に行かないでしょう。

 

勉強する事が嫌いなパティシエの方、結構多いですが、これが苦手な方は、必ず克服して下さい。

 

社会人になるまで勉強をするのではなく、社会人になってからこそ、より一層日々勉強が必要になるのです。

 

お菓子コツの科学という本がありますが、お菓子作りは『科学』です。


原理原則の徹底的に学習無しに、「応用」は絶対に出来ません。

 

先輩、上司、シェフの為に努力・仕事をする事

皆さんは、何の為に今の職場でパティシエとして働いていますか?

 

「自分が将来独立する為に」

「自分のお菓子作りの勉強の為に」

「自分の為に働く」 という事は良い事です。

 

良い事ですが、当店のシェフのように「たった3年で独立出来る」ようになるには、適切な考えではないかもしれません。

 

逆の立場で考えてみて下さい。

 

 

そもそも何でパティシエ人材を採用するのでしょうか?

 

そのパティシエの方の独立の為の勉強の場を提供したいからでしょうか?

給料をパティシエの方に支払い、「お勉強のお手伝い」をしたいからでしょうか?

 

 

違います。

 

『一早く戦力化(成長)し、会社の業績向上に貢献して貰う為』

 

に採用します。

 

パティシエの皆さんのお勉強の場ではないわけです。

 

シェフはパレスホテル東京に在籍していました。

皇居の前にある一流ホテルです。

 

彼女がしていた仕事は、何だと思いますか?

 

・ごみ捨て

・原材料を地下から取りに行ってくる

・先輩やシェフの朝食の準備

・お茶の準備

・膨大な洗い物

・掃除、片付け

 

が最初の中心的な仕事でした。

 

これを全く嫌がらず前向きに、一生懸命に取り組みました。

 

最初は、会社の戦力にならず1円も稼ぐ事が出来ません。

稼いでいるのは、シェフや先輩達です。

当時彼女はこの事がわかっていたのでしょう。

 

稼いでいるシェフ、先輩の役に立つ事をまず考えたそうです。

(※自分は稼げていない。給料は先輩方の頑張りのおかげで頂く事が出来ている。)

 

朝食の用意、お茶の用意、何十人もいる中、お茶と言っても、

 

Aさんは、コーヒー薄め、

Bさんは紅茶でレモン、

Cさんはコーヒー濃いめでブラック、

Dさんは、コーヒーに砂糖2つ・・・

 

と一人一人の好みもすべて把握し、
各先輩、シェフが出勤するタイミングで用意が出来ていないといけません。

最初の半年は本当にこれだけで、お菓子には触れる事もなかったそうです。

 

 

 

『宴会のゼリー作ってみるか?』

 

 

初めていわれた時は本当に嬉しかったそうです。

自分で一から作った事は無かったのですが、完璧にできたそうです。

 

毎日、先輩の計量の補佐をし、洗い物をし、

原材料を地下からもってきていたので、

どういう原材料で、どういう仕込み手順で、どこがポイントでという所がその時には、すべて頭に入っていました。

 

その後はどんどん仕事を任せて貰う事が増えていき、

いつしかシェフが休みの日には、彼女が現場を任されるようになっていました。

 

 

ポイントを整理しましょう。

 

 

【1】先輩やシェフに貢献する事を一番に考え、努力し続けた事。

 

【2】目の前の与えられた業務を前向きに全力で向き合った事。

 

 

お茶の用意、朝食の用意一つとっても

何十人分を用意するため、段取りよく準備する事や、一人一人の好みを理解する必要があり、

この過程自体が、業務遂行能力向上に繋がると共に、

先輩やシェフなどは、朝食の用意の仕方で、彼女に仕事を任せる事が出来るかどうか、判断をしていた。

 

シェフの立場だったら「この子に任せてみよう」という気持ちになると思いませんか?

 

まとめ

《1》
原理原則から徹底的に学ぶ事

 

《2》
先輩、上司、シェフの為に努力・仕事をする事

遠回りのようで、これが一番の近道だと思います。

 

ナッペの練習をデコ缶でバタークリームを使って技術向上をするなど、表面的な話ではなく、もっと深い、根本的に重要な所をお伝えしたつもりです。

 

少しでも伝わるといいなと思います。

 

関連記事

おススメの記事